平成28年1月 最新人材市場動向レポート「ヒューマンタッチ総研Monthly Report」(1/2)

今月(2015年12月)の概況

総務省統計局の「労働力調査」と厚生労働省の「一般職業紹介状況」の2015年11月分(2015年12月25日公表)のデータをまとめると次のようになる。

雇用環境は引き続き改善傾向であり、人材需給はタイトな状況が続く

完全失業率(季節調整値)は前月に比べ0.2ポイント上昇して3.30%となるが、有効求人倍率は1.25倍で前月比0.01ポイント上昇しており、人材需給はタイトな状況が続いている。総務省では、失業率は悪化したものの、「人手不足感の高まりで、より良い条件の仕事を求めて自発的な離職者などが増え、完全失業者が一時的に増加したため」と分析しており、「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移している」と判断している。


  • 完全失業率(季節調整値)⇒3.30%(前月比0.2ポイント上昇)
  • 完全失業者数⇒209万人(前年同月比10万人の減少)
  • 「自発的な離職(自己都合)」⇒90万人(前年同月比6万人増)
  • 有効求人倍率(季節調整値)⇒1.25倍(前月比0.01ポイント上昇)
  • 新規求人倍率(季節調整値)⇒1.93倍(前月比0.1ポイント上昇)
  • 正社員求人倍率(季節調整値)⇒0.79倍(前月比0.02ポイント上昇)



専門的・技術的職業の人材不足が更に深刻化

専門的・技術的職業の有効求人倍率は1.89倍(前月比0.07ポイント上昇)で7カ月連続の上昇となり、専門的・技術的職業における人材の不足感が更に高まっている。特に、「医師・薬剤師等」と「建築・土木・測量技術者」の人材不足が更に深刻化している。


  • 専門的・技術的職業の有効求人倍率⇒1.89倍(前月比0.07ポイント上昇)
  • 「医師・薬剤師等」の有効求人倍率⇒7.46倍(前月比0.43ポイント上昇)
  • 「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率⇒4.46倍(前月比0.21ポイント上昇)

正社員の増加傾向が続く

就業者数は6,379万人(前年同月比8万人増)で12カ月連続の増加、雇用者数も5,676万人(同39万人増)と、いずれも増加した。雇用形態別には、正規の職員・従業員数は3,300万人(前年同月比19万人増)と12カ月連続の増加となった。一方、非正規の職員・従業員数は2,010万人(前年同月比2万人減)と減少に転じており、正社員の増加傾向が続いている。


  • 就業者数⇒6,379万人(前年同月比8万人増)
  • 雇用者数⇒5,676万人(前年同月比39万人増)
  • 正規の職員・従業員数⇒3,300万人(前年同月比19万人増)
  • 非正規の職員・従業員数⇒2,010万人(前年同月比2万人減)

トピックス

「フィンテック」が新たなIT 技術者のニーズを生み出す

「フィンテック」とは、IT技術を使った新たな金融サービスであり、金融を意味する「Finance(ファイナンス)」と、技術を意味する「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語である。アメリカでは5年以上前から使われているが、日本で本格的に使われるようになったのは2014年頃からだろう。

フィンテックとしてよく知られているサービスには、ECサイトにおける「ウェブペイ」や「スパイク」などのオンライン決済サービスや自動で家計簿をつくることが出来るクラウド家計簿などがある。

フィンテックはマーケットでも期待が高い有望分野であり、新年の株式市場では、「フィンテック」関連銘柄の株価が急騰した。例えば、データセンター運営のさくらインターネット社は、昨年12 月にIT ベンチャーのテックビューロ社と組んで、仮想通貨の決済等に使うキーテクノロジーである「ブロックチェーン」を自社のクラウドサービスで動かす実証実験を始めると発表してから、株価は発表前の4 倍近くになった(2016年1月5日現在)。

3大メガバンクはそれぞれフィンテック専門部署を相次いで設立しており、今後、フィンテックが新たなIT技術者のニーズを生み出しそうである。


医療・福祉と情報通信業の就業者数は2030年には大幅に増加すると推計される

「平成27年度雇用政策研究会報告書」によると、「経済成長と労働参加が適切に進む」シナリオの場合には、将来の産業別の就業者数の対2014年比の伸び率は図表①のようになると推計されている。

増加率が最も高いのは「医療・福祉」であり、2030年には2014年比で22%増加すると推計されている。次いで、情報通信業が15%の伸びとなっており、今後の15年間で、医療・福祉と情報通信業の就業者数が大幅に伸びるという推計がなされている。高齢化の急激な進展を背景に、医療・福祉サービスに対するニーズは高まることは確実であり、今後は、医療・福祉分野での就業者数の拡大が政策的にも推進されるだろう。

また、フィンテックに代表されるように、情報通信分野の技術者への人材ニーズは様々な産業分野で新たに生まれると考えられ、今後は学校教育段階からのプログラミング教育の実施や、先端技術にキャッチアップするための職業人生を通じた能力開発の体制整備が重要になると考えられる。また、最先端の技術を持つ優秀なIT 技術者の採用はグローバルに展開されると思われ、企業にとってはグローバルな採用活動の強化や社内のダイバーシティの向上が重要になるだろう。

一方、減少率が最も高いのは教育・学習支援業の▲26%、次いで、鉱業・建設業の▲19%であった。これらの産業では、市場規模に合わせた人材確保とともに、IT 等を活用した生産性の向上が重要な課題になると考えられる。


<図表① 産業別就業者数の対2014 年比の伸び率>

表:産業別就業者数の対2014 年比の伸び率

出典:厚生労働省「平成27 年度雇用政策研究会報告書」より作成

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